ディアとソウル ライバル物語 パートⅡ
こんにちはノビーです。
本日も昨日に続きましてディアとソウルのライバル物語です。僕の想像と妄想全開のストーリーを是非お楽しみ下さい。
HTB大会で急成長を遂げたディアは、続く紫苑S大会も岩っちゃんの魂のこもった応援もあり、危なげなく秋華賞大会の予選会を通過した。
『岩っちゃん。あなたのおかげでいつも頑張れる。ありがとう。』
岩っちゃんは喜んでくれたが、なんだか浮かない顔をしていた。
それから約1ヶ月後にその意味が判明した。
ディアは岩っちゃんに校舎の裏に呼び出された。
『俺、お前以外に好きな子がいるんだ。秋華賞大会は、その子を応援したい。』
『えっ!』
ディアはショックで泣きそうになったが、気持ちをぐっとこらえた。
『いいよ。あなた別にわたしの彼氏じゃないんだから。好きにすれば。』
『君を応援したいとは今でも思っている。でも
ファンディの事がどうしても頭から離れない。』
ディアはショックで泣きながら街を歩いていた。
"岩の馬鹿!秋華賞大会って大事な大会の直前にこの仕打ちはないよ。誰かが応援してくれないと私頑張れない。"
『ディア!』誰がが声を掛けた。
ディアが後ろを振り向くと、ルメが微笑みながら立っていた。
『秋華賞大会、君の応援をしてもいいかい?』
『えっ!だってあなたにはソウルがいるじゃない。秋華賞大会にソウルが出場しないからといって、それはいけないわ。ルメ!』
『ソウルは僕の恋人だけど、可愛い女の子がこんな仕打ちをされて黙ってられないよ。岩っちゃんに変わって今回は僕が君を応援する!』
ディアは思った。"人の彼氏に応援される事は罪悪感を感じるかもしれない。ただルメのようなイケメン男子に応援されれば、強豪揃いの秋華賞大会に勝てるかもしれない。"
秋華賞大会は、アエロ、ファンディ、モズカ、リスグラと強豪が揃っていた。ディアはこの子達に勝たなければソウルは私に振り向いてさえくれないと思っていた。ここは絶対に負けられないと思った。特に岩っちゃんが今回応援するファンディだけには負けられない。
ディアは結局スタートに失敗して序盤は苦しんだが、鮮烈な走りで初の中学生メジャー大会の栄冠を手にした。
試合後、一生懸命応援してくれたルメにお礼を言った。
『ありがとうルメ。あなたが応援してくれたおかげで勝てたわ。』
『僕はただ応援しただけ、試合に勝ったのは君が選手として素晴らしいものを持っているからだよ。』
ルメはそう言うとディアの肩をポンと叩き立ち去った。
立ち去り際、ディアがルメに言った。
『ソウルと幸せにやってね。ルメの応援で彼女を是非オリンピック代表に導いてやって!』
ルメは微笑みながら言った。
『君が心配しなくても大丈夫。ソウルは上のランクに行っても勝つ能力はある選手。ソウルはいずれ世界に羽ばたく選手になるから!』
ソウルはルメがディアの応援をした事が気に食わなかった。"恋人が同じ女子中学生選手の応援を何故するの?もしかして私焼いているのかしら・・・。そんな暇ないわ!大事な試合が近いのに!"
ソウルは自らの気持ちを抑え練習に励んだ。
ソウルは全身が武者震いしているのを感じた。今立っている舞台が今までとは比べものにならないくらい高レベルの場所だと本能でわかっていた。
".毎日王冠大会がいくら強化大会といっても、周りは年上の男子ばかり。やれるかしら?"
藤沢先生が言った。
『ソウルお前は、スーパー女子中学生だ。お前の潜在能力は世界レベルなのは間違いない。この相手でも能力を出し切れば勝てる。』
世間の大多数も天才少女ソウルが勝つと思っていた。
『自分を信じて全てをぶつける。』
そんなソウルを見てルメは少し心配になった。
"完全に気負っている。悪い方に出なければいいが、まぁそれでも勝ってくれるはず。"
試合はルメが予想した通り、ソウルの気負いが悪い方に出てしまった。いつものソウルとは違っていた。高校チャンピオンや強豪が揃った相手達に女子中学生が初めて挑んだのだから無理もない。
周囲の予想を裏切り試合は惨敗。やはり時期尚早だった。いや次の秋天大会では復活するなど、さまざまな意見が飛び交った。
ソウルは自分に対して腹が立った。天才少女、スーパー女子中学生など周りからチヤホヤされていい気になっていた。上には上がいる事を今回初めて思い知らされた。ただこの挑戦を途中でやめるわけにはいかなかった。
日本最高峰の大会である秋天大会、ジャパンC大会にソウルは強行出場した。結果はそこそこ健闘するも勝利する事は出来なかった。オリンピック候補からも外され、世間からもスーパー女子中学生の話題が出る事はなくなった。
藤沢先生もソウルの復活を願い試合に出し続けた。高校生となって挑戦した阪神牝馬大会、ヴィクトアマイル大会と女子限定の試合でも勝てなくなっていた。かつては寄せ付けなかった同じ中学生女子ライバルだった選手達にも負けるようになった。
完全に天才少女の輝きは失われていた。恋人ルメも献身的に尽くしてはいたが、ソウルもそんなルメの優しさが痛かった。そんな2人はいつのまにか別れる事になった。
一方のディアも秋華賞大会に勝って一段上のレベルの大会に挑戦するようになった。エリザベス女王大会、高校生となって挑戦した京都記念大会と高レベルの大会の壁に跳ね返され苦戦を強いられていたが、光は差して来た。世界大会のドバイターフ大会で3位入賞を果たしたのだ。
その時ディアを懸命に応援したのが、皮肉にもライバルであるソウルの元彼のルメだった。ルメとディアは相思相愛の恋人同士になっていた。
そして今年の夏再び高校生となった2人がクイーンS大会で激突する。関係者やファンのほとんどが成長したディアがソウルを負かすと思っている。
ただディアはそうは思っていなかった。一度もソウルに勝ったことがない自分自身がソウルの強さを1番よく知っているからだ。
終わり